緑あふれるケルトの大地アイルランド(後編)

ジャイアンツ・コーズウェイ

 (コング地方〜スライゴー〜北アイルランド・ベルファースト〜ダブリン)

 6月の眩い緑、群青の海、移り行く空模様と光、神秘的なアイルランドの旅も半ばになりました。
Kylemore Abbeyでのゆっくりした時間を過ごした後バスはConnemara National Parkへと向かいます。私の銀河鉄道!の旅はまだまだ続きます。後半も宜しく。
【緑あふれるケルトの大地アイルランド】後編
6月15日(6日目午後より)
(コネマラ〜コング・アッシュホードホテル)

カイルモア修道院から程近くのコネマラ国立公園へ。緑の中をしばし散策後ビジターセンターでまずはアイスクリームを買って一休み。
コネマラ馬。呼んでも近くへ来てくれません。
シンプルなビジターセンター
自然や歴史が分かります。
背景にはポッコリした岩山のダイヤモンドヒルがありコネマラ馬も放牧されています。

コネマラから1時間程でジョンフォード監督の映画「静かなる男」のロケ地コングへ。
コリブ湖と穏やかな牧場風景。

1952年「静かなる男」のロケが行われたコングの街はあっという間に通過。
右が有名なパットのお店です。しばらくしてアッシュフォードキャスルホテルの門をくぐり広大な敷地に入ります。

庭園内の黒い川。泥炭層を流れる川は黒いけれど自然浄化されてとても透明度があります。
やがて川はコリブ湖へと流れてゆきます。

馬車?残念ながらバス!は中世の石の橋を渡ってアッシュフォードホテルへ到着です。

13世紀の古城を改装したホテルAshford Castle Hotel
「静かなる男」撮影中は若きジョン・ウェインモーリン・オハラ等スタッフの宿だったとか。
重厚なエントランス
ホール。好みの椅子でゆったり過ごせます。


客間は次々趣向を変えて続きます。

窓からのコリブ湖の眺め。


あまり美しいので部屋の飾りや壁の絵に見入っていると清楚な白いブラウスのメイドさんが「お部屋にご案内致しましょう」と迷路の様な廊下を通って私達の部屋へ案内して下さいました。胸もドキドキどんなお部屋なのでしょう!

可愛い明るいバルコニールームが付いた部屋です。
古いお城を改装したので部屋はそれぞれ内装も間取りも異なります。


テーブルの上にはミネラルウオーターが用意されていましたが湯沸かし器もお茶セットもありません!電話で頼むと24時間お湯・コーヒー・紅茶のサービスをして下さるとの事、自分でお茶を入れるのは似合いませんね!

バスルーム。さすが!固定式シャワーとハンドシャワーが付いていました。

夕食前、一寸おめかしをして。
ゴージャスなメインダイニングルームでのディナーです。

前菜
トマトスープ
デザート
メインの料理はアイリッシュビーフのガーリック風味焼き、
丁寧にサービスして下さるので写真は遠慮しました。
リラックスして食事が出来るのはアイルランド気質のおもてなし精神でしょうか。

夕食後はお庭の散策。夜10時位まで明るいのです。湖は平らに広がりお庭からそのまま歩いて行ける様な錯覚にとらわれます。

石橋の袂にはコリブ湖の遊覧船が停泊しています。
2連泊すればもっと色々楽しめるでしょうね。

乗馬もできます。今回は残念なHiroshiでした。

こうしてアッシュフォードの1夜は過ぎて行きました。

朝バルコニールームのサイドのカーテンを開けると目の覚める様なブルーのコリブ川の風景に驚きました。
最後のお楽しみの朝食会場へ。



ヴァイキング形式の朝食。
アイルランドでは朝からハムやソーセージ(豚の血を混ぜ込んだブラック、オーツ麦を混ぜた白ソーセージ)ベーコン、卵、焼いたトマト、マッシュルーム、スコーンとソーダーブレッド、パン色々、マッシュポテト、ヨーグルト等の乳製品、果物、紅茶とどれもついつい試してみたくなります。
以外と無いのが生野菜。アイルランドでは生野菜を食べる習慣が無かったとのこと。
でも近年は習慣も変わりレストランのランチやディナーにおしゃれな生野菜のサラダが付いてきます。

朝のお散歩。石橋を渡ってボート小屋へ。味がありますね!

13世紀以来の長い年月の変遷の中で今世界中の誰もが愉しめるホテルになりました。平和な時が続きますよう願いつつ。「思い出をありがとう!さようなら!Ashford Casle Hotel!」

アイリッシュハープの調べで一寸一休み。
6月16日(水曜日)7日目
(コング〜詩人・文豪イェイツが愛したスライゴーへ。ドラムクリフのイエィツのお墓へも行きます。)
コングから約2時間、バスの中でスライゴーで幼少期を過ごしたW.B.Yeatsについての説明を聴きつつ、ベンバルベン山の近くのスライゴーに到着。どこか懐かしい山、そう屋島そっくりですね。

弱い頭でイェイツについて考えるより先ずは食欲。
今日の昼食はスライゴーの街の中心地のスライゴーCity Hotelでの名物アイリッシュシチュー。肉じゃがの塩コショウ味でしょうか?
素朴な家庭料理風でとても美味しかったです。

子供の頃(終戦後)母が作ったカレーを思い出しました。
これにフライパンで炒めたカレー粉を混ぜましたっけ。

大概のバブやレストランにはジャガイモ丸ごとボイルやマッシュポテト等のあつあつサービスカウンターがあります。アイルランドの人達は本当にじゃがいもが大好きなのでしょう!活き々と働くお店の人。

港には今から150年程前じゃがいも飢饉の時の銅像があります。
じゃがいもに病気が発生し収穫出来なくなり100万人もの人々が餓死。
150万人の人々がアメリカ等へ移住したのです。
今ではその子孫が4000万人にもなっているそうです。
その子孫の中からケネディ大統領やレーガン大統領が出ました。

午後は街の中心ガラボーグ川に沿って歩く。

13世紀に建てられた修道院跡。多くの修道院が宗旨の違いで破壊され廃墟となっています。それでも美しく人々の心を捉えます。

10分も歩くと町並みの中にひっそり赤レンガの「イエィツ記念館」がありました。


記念館では生い立ちや家族との暮らしの写真等興味深く拝見しました。
お母様がスライゴー生まれだったので幼少時よく訪れ、スライゴーに愛着を持つようになられたとか。
お父様は画家だったので2階はギャラリーになっています。

平易な言葉に深い意味がありなかなか理解出来ませんが雰囲気は感じられます。
でも感違いしそうで胸にそっと収めます!
Hassel House の2階で詩の朗読会をされた方が「イェイツ」が読めたらと言われた言葉が忘れられません。
ベンバルベン山へ向かってバスは走ること20分程、ドラムクリフのイェイツのお墓へ。

ドラムクリフ教会

ケルトの象徴ハイクロス

イェイツのお墓。この地で永久の眠りにつきたいとの遺言があったそうです。

お墓に刻まれた言葉。訳も色々。
Cold eye は冷静に見る?Horsemanは旅人?当時旅は馬でしたので。
ある本での訳は「生も死も冷たく見流せ馬上の男よ行け」

近くにあったお墓で対峙するHiroshi。
なかなか味わい深い環境とお墓に皆哲学的思考でのひと時を過ごしました。
6月17日(木曜日)8日目
(スライゴー〜国境を越え北アイルランド(イギリス領)へ。ポートラッシュの街〜6角形の石柱が敷き詰められた不思議な風景のジャイアンツ・コーズウエイ〜ベルファースト)
スライゴーを出発して今日はイギリス領北アイルランドへ!と緊張していましたのにイギリス領へは線一つ無く通過。協定が結ばれていて自由に行き来出来るようです。西部の石だらけの厳しいけれど心を打つ風景は北上して行くに連れ心和む豊かな田園風景へと変わります。やはりイギリスの田園風景に近いでしょうか?

牧草のロール風景

牛かと思えば馬でした。ぶち馬ですね!

昼前ジャイアンツ・コーズウエイ観光起点の街ポートラッシュのホテルへ。
シンプルな新築の建物ですが一寸楽しい装飾が施され温かみがあり日本の新築の家もこんな風に建てられないかしらと思いました。

中はモダンクラシック調。

お昼間からギネス!

'98のスケッチより。あまりハンサムなのでつい絵に描いてしまいました。ケリーの小さいホテルのバーにて。

ランチはイギリスの家庭料理、シェパードパイでした。
これにクリームスープ。デザートはパンプディング
どう考えても2〜3人前はあります!
午後は北の海岸沿いの道・コーズウエイコーストを北上します。

ダンルース城跡。
何処までもつづく藍と碧、絶景の断崖と白い波、白い雲、灰色の廃墟。

丘の上は黄色い小花で覆い尽くされ眩しい夏の訪れです。
やがてバスは世界遺産ジャイアンツ・コーズウェイに到着。
丘の上のビジターセンターからジャイアンツ・コーズウェイが望めます。
「徒歩20分位ですよ!」でもミニバスの送迎がありほっと一安心。

海にせりだした6角柱。

この石柱の丘の上にも遊歩道があります。

写真撮りに夢中のHiroshi。「足元に注意!」
日本にも玄武洞など6角柱の岩はありますね。
自然の不思議な創造です。
雄大な規模に色々の巨人伝説等もありここも又神秘的なアイルランド風景です。
バスは1時間半程走り夕方北アイルランドの中心都市ベルファーストへ、今は和平の話し合いが出来街も安全になったそうで活気に溢れています。工業や造船業が発達していてこの地でタイタニック号が造られたのも有名です。
英国からの移住者が多く住民の投票で英国籍になるのを選んだそうです。
通貨がユーロからポンドになった位しか実感しませんでした。

夕方郊外のストアモント城の緑の森のすぐ近くのファミリー向けのホテルへ。付近は静かな住宅地です。

ホテルの前の住宅。爽やな天気に付近を散歩してみましたがどの家も1階はリビングルームらしくカーテンも引かず灯りをつけているのでついつい見てしまいます。ロンドンの郊外にもよくある様な2戸1で広さはHasselHouse位でしょうか?素朴な建築ですがそれぞれ綺麗にシンプルに暮らしている様子でした。どの家もとても可愛い!道路脇には大木が枝を伸ばし緑溢れる住宅地です。
6月18日・19日(金曜日ー土曜日)9〜10日目 (ベルファースト〜ダブリンへ。)
 よい気候とお天気に恵まれ快調に進んだ旅もいよいよ終りに近づき今日はダブリンへ帰ります。
ベルファースト出発後2時間余りいつの間にか北アイルランドよりアイルランドへ。
途中前回行ったタラの丘の近くを通過して昼前にダブリンへ戻って来ました。
ダブリンはヨーロッパの人たちにも程よい規模と雰囲気で人気第一の都市だそうです。
午後は市内観光、まずギネスビール醸造所に向かいます。

広大な敷地に観光客用の見学施設があり大変な人気です。
利益の一部は市に寄付されて文化的な施設がお蔭で整っているそうです。

入場した人は好みで大ジョッキでも小ジョッキでも1杯づつ試飲できます。
アルコールに弱い私は少し悔しい気持ちです。
世界中からの旅行者が皆一同に美味しそうに愉しそうにビールを味わっていて平和そのものです!
ガリバー旅行記で有名なジョナサン・スウィフトが司祭長を務めた聖パトリック大聖堂見学後トリニティー・カレッジへ。
12年前に比べると見学者が多くなり行列で進んで「ケルズの書」を見る。手描きの挿絵の細かさに驚くが少し間違った描写の所が拡大して展示してあり何となく微笑ましい。
1200年前に作られたケルズの書
トリニティカレッジ図書館
図書館にはエジプト時代からの蔵書が500万冊とか!2階部分も見渡せて圧巻です。手続きを取れば閲覧出来るそうです。いくら勉強しても時間が足りませんね。
アイルランドの大学は高校生の時の一斉学力テストで大学が振り分けられトリニティー・カレッジがナンバー1だそう。改めてここいらで自由に芝生で寝転がっている若者もみんな賢いのだと感心する。
大学校内はローマ時代の荘厳な建物。それに不思議にマッチした新しい現代建築や彫刻。大木の緑、開かれた明るい雰囲気。こんな場所で青春の日々が過ごせたらと思わずには居られません。
トリニティカレッジから徒歩10分程グラフトン・ストリートから少し入ったWESTBURYホテルで一休み後夕方アイリッシュダンスショーへ。
ダブリン郊外のレストラン「Taylors Three Rock」
アイリッシュダンスショー
甘いのでついつい飲むと大変!アルコール度が高いアイリッシュコーヒー
方々の国からの観光客で賑わう愉しい雰囲気でしたが漫談が始まると皆の笑いについて行けません。日本人は中途で退却となりました!残念!
エストベリーホテルの前はバブのお店が並んで賑わっています。

今日は華の金曜日、陽気な人々はこんなお年寄りにも笑顔で応えてくれます。でも朝方まで賑わいは続くから覚悟してくださいとの添乗員様の言葉通り!でも疲れて寝てしまいましたけれど。

エストベリーホテルの朝食。みんなニコニコ顔。幸せになる街ですね。
6月19日(土曜日)最後の旅行日の今日は自由行動です。街の中心地のホテルは有難いですね!
朝から徒歩10分程の国立博物館、美術館めぐり、どこも無料でダブリン市民は豊かに暮らせますね。
午後、週末は歩行者天国となり賑わうグラフトン・ストリートへ。
砂で生きている様な犬を造っているおじさん。
いつまでも塑像のように立っている人。
ライブ演奏。
エリーゼのために」を弾いていた美少年。将来が楽しみですね。
風船のパフォーマンスにエキサイトする子供達。
まるで子供になった様にわくわくして立ち止まっては見物しました。
これは三輪オートバイでしょうか?
グラフトン通りを出た所に馬車が何台もいました。早速40分のコースを頼みました。
                  リズミカルな蹄の音を聞きながら慣れた様子で道路を行く馬さんに感心しつつの街巡りはとても愉しい。                  
運河には観光用の船、街の中木々の間から船が見えて不思議ですね。ダブリンの街での2日間もあっという間に過ぎ長いフライトの後一寸しょんぼりとして見える住み慣れた我が家に無事帰って来ました。
こうして旅をして思うこと。ほんの一寸触れたり表面から見たりしただけかも分かりませんが人々が時間の過ぎ行くままにゆったりと人生を愉しんで暮らして居るように思えてなりません。
旅の思い出は線で繋がった人生の中で点として思い出す事が出来ます。
前回のアイルランド旅行は両親の介護中。入退院を繰り返していた両親が小康を得て老人保健施設に短期に預かって頂いた間の思い切った私たちの休暇でした。旅は異次元の世界に行って心を癒してくれますね。
今回はもう私達がしないといけない事もほぼ終わりその代り現実を見た老いの世界へ近づいてしまった日々の内、小春日和のひと時の様な旅だったでしょうか。おかげさまで体調も崩さず愉しめた素晴らしい思い出作りの旅になりました。

追記:先日もう一度司馬遼太郎の「街道をゆく」を見ていますと、私達のツアーのガイドをしていただいた三枝子さんが載っていました。
静かにソフトに趣深く案内して下さった三枝子様でした。旅は帰った日から又新らたにその地への郷愁が生まれ愉しさが続きますね。
Kyoko